私は、大学院の修士課程を卒業し、高校生の頃からの夢でもあった研究職として医薬品メーカーに勤める会社員でした。入社3年目の春に思わぬ人事異動があり、なんで私を異動にしたのかと優里のドライフラワーを聞く毎日でした。
その中で、会社と自分のこれまでとこれからを見つめ直した結果「会社を辞めて、大学院の博士後期課程に進学する」ことに決めたのです。
「枯れぬなら 燃やしてしまえ ドライフラワー」です。
大学院の入学ギリギリまで会社で働くこともできましたが、思い切って数か月早めに退職し、その数か月でリゾートバイトに出発しました。働き始める前は不安もありましたが、結果としては「リゾバに来て本当によかった」と思うようになりました。
社会人の私がリゾートバイトを始めた理由
普通に会社員をしていた私がどうして急に退職してリゾートバイトなんて始めたのか?
理由はずばり「どこか遠くで、束の間のリフレッシュがしたかったから」です!
大学院に行くぞと決めて、入社3年目の夏頃に大学院の院試を受け、秋には無事に合格をいただいていました。大学院入学ぎりぎりの3月末まで会社員を続けることもできましたが、
「進学前にどこか遠くに行きたいな」
「ちょっとの間だけ他の仕事がしたいな」
「でも、2-3か月だけ雇ってくれるバイト先ってあんまりないしな」
などと思っていたある日、Instagramでリゾートバイトの広告が流れてきました。リゾバなら、2-3か月の短期で働けて、しかも遠くで違う仕事ができる!と思い、これだと思いました。
思い立ったが吉日で、その日のうちにリゾバの派遣会社に登録し、話を聞いてみました。そこから3日後には一番条件が合う北海道の温泉宿に応募し、無事に採用されて人生初のリゾバが始まりました!
社会人にリゾートバイトをおすすめする理由
何よりも良いリフレッシュになる!
どこか遠くで、今とは全然違う仕事がしてみたい!そんな漠然とした思いを心の中に持ってはいないでしょうか。これまでの自分を知る人がいない場所、これまでとは大きく異なる仕事内容に一時だけ身を置いてみたい。そんな思いをもっているあなたにおすすめなのがリゾートバイトです!
私自身、医薬品メーカー→温泉ホテルのキッチン、と働き方・仕事内容が大きく変わりました。業界・職種が異なれば、そこで働く人の雰囲気も違います。これまで住んでいた場所とは、遠く離れた場所で大きく異なる仕事を知らなかった人たちとする。
仕事の合間には美味しい賄いと温泉、雪景色を楽しみ、仕事中はのんびり楽しくつまみ食いをしながら働く。そんな時間を過ごすうちに、前職のこと、リゾバ後の進学のこと、全て忘れられるような気がしました。おかげさまで本当に良いリフレッシュになりました。
多種多様な人に会える
普通に会社員を続けていた中では、絶対に出会わなかったような人たちにたくさん会いました。毎日しゃべって、驚いて、笑って、、、大学生だった頃の居酒屋でのバイトを思い出していました。
- 普通に会社員をやっていたけど、退職して世界一周に出ている元営業マン
- 将来はワイナリーを経営したいと奮闘する一児のパパ
- いつか自分の理想のサウナをつくりたいと各地を巡るサウナー
- 子どもの頃にお腹すいたからとブロック塀を齧って前歯を失ったパチンコ依存ギャンブラー
- クレジットカードの延滞を繰り返し過ぎてブラックリストにぶちこまれたムキムキちょんまげおじさん
- 風邪を引いていたので、出かけるときに何か買ってほしいものはあるか聞いたら「食パンとピーナッツバター」と答えた奇天烈オバハン
- リゾバラブを成立させ、男女別の寮なのに夜な夜などちらかの部屋に行くバカップル大変微笑ましいカップル
- 雪の中にスマホを落として2週間後に雪中から発掘したおしゃべり多動メガネ
- サザエさんかっと言いたくなる髪型をした究極★お局ばあさん
などなど…
加えて、私のいた職場は国籍も豊かでした。中国、台湾、キルギスなど世界各国の人と働くことができました。時に言語の壁を感じることもありましたが、翻訳アプリなどを駆使してコミュニケーションを図るのも良い経験になりました。
働き始める前は、上手くやっていけるかなと不安を感じていましたが、1か月が経つ頃にはお別れが寂しくなり、2週間弱リゾバ期間を延長してしまいました。
これからも各々が奇想天外な人生を歩んでいくのでしょう。いつかどこかで再会することがあれば、その後の人生をぜひ聞かせてくださいね。
生活費は補償されている
寮費無料・交通費支給・食事つきを掲げている勤務先も多く存在します。そのため、荷物一つで気軽に出発できるのもメリットです。転職するとなったら通常は、新しい賃貸を探を探す必要があります。当然、転職後も光熱費や食費は自分で払うことになるでしょう。
ですが、リゾバならそれらの必要経費を会社側が負担してくれます。最低限必要な荷物だけ鞄に詰め込んで、旅にでましょう。だいたいのことはなんとかなるんです。
私がいた職場は休みの日でも館内利用可能だったので、温泉とご飯、ワーキングスペースのコーヒーを楽しみに休みの日も毎日伺っていました。おかげさまで料理長には「皆勤賞!」とキモがられましたが笑
派遣社員として気楽に働ける
リゾバ中は立場上は派遣社員となります。キャリアアップや後輩指導などを考えるべき正社員とは異なり、派遣社員というのはやはり気楽に働くことができます。与えられた仕事をのんびりとこなしたり、時にデザートに盛る果物を飾り切りにしてアレンジしたりと自由に働くことができました。
「でも、派遣社員というと立場が弱いのではないか….」
「正社員と比べて差別されたりしないかな….」
そんな心配はご無用です!
リゾート地のホテルは地元の人の雇用だけでは、とてもではないですが手が足りません。そのため、派遣社員ありきでどこもシフトが組まれているはずです。派遣社員をいじめたりして、派遣元に悪い噂がたてば、派遣社員が派遣されづらくなります。そうなると、結局困るのはホテル側でしょう。
そのような事情もあり、絵に描いたような派遣社員いじめなどは全くありませんでした!また、契約内容と実態が異なるなど困ったことがあれば、派遣元の会社が間に入ってくれます。何かあった時に仲介してくれる人がいるというのは非常に心強いですね。
社会人がリゾートバイトをするタイミング
転職の合間
「職歴に空白を作るな」「一生懸命働きなさい」「苦しくても石の上にも三年だ」
私たち日本人はそう言われて育ちますし、大人になってからも世間からそう言われるように感じませんか。
でも、人生はもっと自由でいいのではないでしょうか。学生に夏休みがあるように、大人にだって夏休みがあっていいはずです。一生懸命がんばって働いた後、数か月だけリゾバでのんびり働く。
そうしてリフレッシュして、また本職に戻っていくもよし。転職して全く違う仕事に就くもよし。リゾートバイトを生業にするもよし。そんなリフレッシュ期間は、きっとあなたの人生に彩りを添えてくれるはずです。一歩踏み出してみませんか?
Webライターなど他の仕事をやりたくなった時
「WebライターやYoutuberなどフリーランスのように生きたい」
「でも会社が忙しくてなかなか時間を確保できない」
「会社を辞めて生きていけるほどの稼ぎはまだ確保できない」
そんな時に退職して、リゾートバイトをしながら夢に挑戦するというのはいかがでしょうか。特にホテルは中抜け休憩があるので、半強制的に副業や勉強のための時間が確保できますし、最低限の生活費も保証されます。
私自身、この記事は中抜け休憩中に書いています!数時間で仕事に戻らなければならないという程よい緊張感があるため、仕事が捗りますよ!
本当に仕事が無理になった時
最後にご紹介するのが会社員をやめて、リゾートバイターになる選択肢です。会社員に疲れた時。転職活動が思うようにいかない時。会社はそれなりにやってるけど、この先もこのままでいいのか悩んだ時。そんな時に思い切って、リゾートバイトを本業にするのはいかがでしょうか。自分の将来を見つめなおす良いきっかけになることもあるでしょう。この方法なら家の引き払いもできる可能性があるため、空家賃の問題は解決できるかもしれません。
ですが、この方法にはデメリットも存在します。接客スキルが身に着くことを多くの求人が謳っていますが、これは飲食業界やホテル業界以外では残念ながら重宝はされない傾向があるでしょう。リゾートバイトは良くも悪くも気楽で責任のない仕事です…長期間働いたとしても任される仕事から得られる知識やスキルには限界があります。
また、新しい環境で働くというのは長所であり短所でもあります。慣れない環境に馴染めずに途中離脱してしまう人も少なくありません。デメリットもよく踏まえた上で、検討しましょう。
社会人がリゾートバイトをするデメリット
納税
会社員を辞めた翌年に残るのが「納税」の問題です。リゾートバイトは自由で良いですが、残念ながら年収の面ではせいぜい200~250万円程度です。年収が落ちた年の納税はきついですよ。
私自身、働き始めてから約1か月後に10万円以上の住民税の納付書が届いた時には頭を抱えました(しかも期限が10日ほどしかない!)…ある程度の貯金はしてから退職することをお勧めします。
次の就職先の確保に難航するかも…特に正社員雇用
居心地は悪くないリゾートバイトですが、その反面その環境に浸かりきってしまうと抜け出すのは難しくなるかもしれません。リゾートバイトというと聞こえはいいですが、雇用形態としては派遣社員です。「自分は脱サラして生涯リゾバ暮らしをするんだ!」というなら構いません。
ですが、一定期間後にまた会社員に戻ることを希望するのであれば、派遣社員からの出口戦略は立てておくのが大切です。一度レールを外れた人間に日本社会はあまり寛容ではないでしょう。
確かに、30歳、40歳となってもリゾバを続けている人たちはいました。彼ら彼女たちは楽しそうに働いていたので、こういう働き方もありなのかな?なんて思ったりもしました。
しかし、それは30歳~40歳になるまでに「一生派遣は無理!」となってドロップアウトしていった人たちが私の目には映らないからだったとも思います。彼らはきっと、たくさんの屍の上に明日も笑顔で立っていることでしょう。
貯金は思いの外できない!
リゾートバイトで生きていくから、今の家は引き払う!という思い切りのよさを持っている人は少ないでしょう。寮費は無料でも、自宅の空家賃は払うことになります。
実際、私は月6万円を家賃として振り込む必要がありました。。数か月だけ解約、とはいかないのが家賃です。支払いの目途は立てておきましょう。寮費や食費と言った生活費はほぼ全て会社支給になるところが多いです。
それでも、納税や空家賃を考えると思うようには貯金は進みません。私はのんびり働けるホテルを選んだこともあり、1か月働いて手取り16万円ほど。空家賃や空光熱費を引くと10万円を割りました。
他にも固定費や納税が必要だったので貯金はあまりできませんでした。生活はばっちり補償されている代わりに、抜け出すほどの余裕は手にできかねる、そのくらいのイメージの給料でした。
経験のある職種の方がいいかもしれない
私は3か月弱ほどホテルのキッチンで働きました。普通のアルバイトで3か月と言えば、ようやく新人期間を終えて独り立ちするくらいの時期ではないでしょうか。
しかし、リゾートバイトは違います。3か月もあれば人が入れ替わること前提のもとで仕事が進んでいきました。
そのため、1か月も経つ頃には新人に教えるなんてことも発生します。正直、全くの未経験でそのスピード感でこなすのは難しいかなと感じました。
特に、キッチンの仕事は経験ありでしか採用していないところも見受けるくらいです。学生の頃のバイト経験と関連させた方が無難かもしれません。
社会人のリゾートバイトに関するよくある質問
リゾバの年齢層ってどのくらい?学生ばっかりじゃないの?
「リゾートバイトって大学生が長期休暇中に行くものじゃないの?」
「会社員辞めて行くとアラサーなんだけど、年齢的に浮かない?」
そんな不安を感じてはいませんか?実際、私が今回のリゾバに来た時の年齢は27歳でした。「年齢的に浮いちゃわないかな〜」と実は私も心配していたのですが、本当に杞憂でした!
元会社員という人もいましたし、リゾバをぐるぐるしているという人たちもいました。30代、40代でリゾバをしているという人はたくさんいたので、年齢的に浮くということは全くなかったです。特に私が関わりの多かったキッチン・料飲(ホール)は比較的年齢層が高く、その日のシフトで最年少ということも多々あるくらいでした。
社会保険には加入できるの?
私が登録した派遣会社では2か月以上の雇用契約で社会保険に加入できるようです。健康保険料は会社と折半ですし、年金も給料から控除して支給してくれましたが、住民税の特別徴収には対応していませんでした。
派遣先が決まった後に送られてきたウェブページに必要な情報を入力するのみだったので、スムーズに加入ができました。
退職予定証明書などの書類は発行してもらえるの?
退職予定証明書など公的な各種証明書は実際に発行してもらえました。私が登録した派遣会社では、退職証明書のフォーマットの用意がなかったようで、任意のフォーマットをこちらで作成する必要がありました。作成したフォーマットを派遣元の担当者に送ったところ、会社の代表者氏名の欄に自身の名前を書く、というポンコツっぷりを発揮してくれた担当者には驚きましたが…
そんなハプニングもあり、発行のお願いから正式な証明書の発行まで1週間以上かかりました。早め早めの行動は大切です。
他にも採用証明書・収入見込み証明書・社保加入証明書・退職証明書を発行してもらえました。唯一、給与所得者の扶養控除等異動申告書の発行はしていない会社でした。
退職後に自宅に送られてくる書類は受け取れるの?
会社を退職後に前職から複数の重要書類が送られてくるはずです。自宅から遠く離れたエリアに行ってしまったら、それらの書類がポストに投函されたままになるのではないか?そんな心配はしていませんか?
転居届を郵便局に提出すれば、自宅宛ての郵便物をリゾバ先の寮やホテルに送ってもらうことが可能です。こちらの転居届はインターネットから簡単に申請することができます。
リゾバ満了後には忘れずに、転居届を再度提出して郵送先を自宅に戻すのを忘れないようにしましょう。
3年間の会社勤めをしていた私のリゾートバイト感想
普通にいい大学に行って、いい会社に入って、家庭をもち、愛する人と老いていく「大人になったら、そうなるんだ」子どもの頃に疑う余地もなかった王道ともいえる人生
そんな教科書のような人生を送るとは、同時にそうではない人生に後ろ指を指す呪いにかかることでもないでしょうか。
「令和は個人の時代だ」「やりがいのある仕事をしよう」「夢があるから人生は楽しいんだ」そんな現代の声が響き渡る競争社会の荒波でもがく時こそ、リゾートバイトに行くという選択肢を持ってみませんか?
きっとあなたの人生の選択肢を広げてくれる人たち、場所に出会えるはずです。残念ながら、このリゾバで出会った人に今後会うことは、もうないんじゃないかなと思います。
それでも、仕事に行き詰った時、一人でお昼ご飯を食べている時、外をぼんやり散歩している夕暮れ時、そんな何でもない時に、ここで出会った人たちのことをふと思い出すんだと思います。
暇だからと社員さんがこっそり作ってくれたステーキ(美味しかった!)。
ちょっと嫌いになった気がするいい風呂の日(平日でも忙しかった!)←11/26
休憩中によくマンガを読んだり昼寝をしたりしたハンモック(ゆらゆら気持ちよいお気に入りの場所!)。
中抜け休憩中に散歩した北海道の雪道(冷たい空気が気持ちかった!)
そんな、ふとした日常に入り込んでくる思い出がたくさんできました。
ここで出会った人たちにはもう会えないかもしれないけれど、どこかで元気にやっていてほしい。私もそう思ってもらえるような人でありたいなと思います。
社会人をやっている皆さんが、この記事を読んでリゾバっていいなと少しでも興味をもっていただけたら嬉しいです。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
星の綺麗な街で出会った皆さんの幸せを祈っています。