リゾートバイトのコラム

リゾートバイトでは「派遣社員」と「直接雇用」のどちらが良い?

リゾートバイトでは主に直接雇用と派遣社員という、二つの雇用形態が存在します。

直接雇用とは、簡単に言えば、働く本人と雇い主という二者の関係です。パートや学生のアルバイトはこれに当てはまります。

一方で、派遣社員として働くということは、働く本人と雇い主のあいだに、派遣会社が仲介役として入ってきます。アルファリゾート、ヒューマニック、ダイブなどがそれです。

雇い主であるホテル・旅館側は、そうした派遣会社に自らの求人を載せてもらうことで募集をかけ、リゾバスタッフはその求人に応募することで、契約が成立するという仕組みです。

そこで問題となるのが、リゾートバイトでは、直接雇用と派遣社員ならどちらが良いのかということです。

先に申し上げると、派遣社員のほうが良いです

もちろん、働く本人の都合もありますから、全員が派遣社員にするべきとはいいません。

しかし、特別な事情がない限りは、派遣社員として働くほうが、有意義なリゾバライフを過ごせる可能性が高いです。

今からそのわけを解説します。

リゾートバイトでは直接雇用より派遣の方が条件面で良い

派遣会社をすすめる理由は、まずこのことに尽きます。

第一に、派遣社員として働くほうが、直接雇用より給料が高い場合が多いです。リゾートバイトにおける派遣社員の時給は1100~1500円くらいですが、普通のアルバイトやパートとして働いた場合は、たいていその金額を下回ります。

実際に私が働いた現場でも、ほとんどの場所で派遣社員のほうが給料が高かったです。ある派遣先で、派遣社員である私の時給は1200円なのに対し、アルバイトの先輩の時給は1000円だったということがあります。もちろん現場におけるスキルは絶対にその先輩の方が上であるはずなのに、雇用形態が違うだけで、実力を度外視した大きな差がうまれてしまうというケースがあります。

※例外的に、直接雇用のほうが時給が高いケースもありますが、諸費用がそこから引かれたり、契約期間が極端に短い場合が多いです。たとえ給料が高くても、実質的な収入で考えれば、やはり直接雇用より派遣社員のほうが良いと言えます。

驚くべきことにホテル業界においては、なんと正社員の給料ですら、派遣社員のほうが上回ることが多々あります。私が時給1200円の派遣社員として働いた場所では、私の月給は手取りで18~21万円くらいでしたが、高卒で3年勤務していた正社員の女の子は、なんと14万円程度でした。私との給料の差にも驚きましたが、その女の子の給料がそもそも低すぎて、思わず言葉を失ったのを覚えています。おそらくそのホテルは業界の中でも社員への待遇が悪いほうであったと思われますが、それにしても、14万円って…ちょっと…

次に給料に関連しますが、派遣社員として働いたときのほうが、家賃・光熱費・食費が無料であることが圧倒的に多いです。

実際、ヒューマニックやダイブなどのホームページで求人を探したとき、家賃・光熱費・食事を負担してくれる派遣先が、8割以上にのぼります。

なぜそういう現状になっているのか。私の想像になりますが、派遣スタッフから見て、

「リゾートバイトは生活費がかからないものである」ということが、もはや常識となっています。ゆえに、家賃・光熱費・食費がかかる求人は、人が集まりにくくなっていると思います。

つまりリゾバの派遣スタッフは、家賃・光熱費・食費が無料というパッケージがあらかじめ組まれていると言っても差し支えありません。

一方でアルバイトなど直接雇用として働く場合、家賃・光熱費・食費は給料から何割かを負担しなければならないというケースが多々見受けられます。

求人によってはそうした生活費が無料な現場もありますが、リゾバの派遣社員の世界と違って、直接雇用はそうした生活費無料のパッケージが常識となっていません。なので雇い主は労働者に容赦なく負担を強いることができます。

そして、そのことは給料に関連します。もし家賃・光熱費・食費が無料であったならば、派遣スタッフは働いた月給以上の収入を手にすることとなっているからです。

ここでいう収入とは自由に使えるお金のことを指します。どういうことかというと、仮にあなたが生活費のかかる会社員の暮らしをしたとします。月給のうちの手取りが25万円、そこから家賃-7万円、高熱費-1万円、食費-4万円を1ヶ月で使うとします(その他の固定費はここでは除く)。すると最終的に手元に残る金額は合計で11万円となり、それが1ヶ月であなたが自由に使える金額と考えることができます。

しかし、もし家賃・光熱費・食費が無料であれば、あなたが手取りでもらった金額が、そのまま自由に使えるお金として手元に残ります。たとえ手取りが18万円だったとしても、上のサラリーマンと比較したとき、7万円も上回ります。

何が言いたいかというと、生活費がかからないということは、そのくらい大きな影響を与えるということです。

したがってそれを踏まえたとき、派遣社員と直接雇用の実質的な収入の差がさらに広がることが想像できると思います。

時給1200円の派遣社員(生活費無料)vs時給1050円の直接雇用(給料から生活費を負担)

上は仮の設定ですが、時給の金額以上の差がそこには存在します。

また、派遣社員は、派遣会社の福利厚生・特典を受けることができます。

直接雇用と比べると、派遣会社の福利厚生・特典のほうが充実している可能性が高いでしょう。各種社会保険に入れることはもちろんですが、そのほかに派遣会社は交通費を支給してくれます。求人によって大きく異なりますが、1~5万円の範囲で支給してくれるため、どんなに遠いところでも大部分が派遣会社の負担となります。旅することのハードルを、派遣会社が下げてくれるということです。

そして派遣会社には、休業補償も存在します。例えば、怪我などなんらかの理由で働けなくなったとき、派遣会社が休業補償の手続きをしてくれ、給料日に補償した分を振り込んでくれます。金額は月や現場によって異なりますが、決められた基準より労働時間が下回れば、最低金額分が給料として支払われます。

私の派遣スタッフ仲間の一人に、リゾバ期間中に車の交通事故で背中の骨を折り、1ヶ月以上休業していた子がいましたが、まったく働いていない月の給料分として、派遣会社からおよそ10万が振り込まれていたそうです。ちなみにそのときの派遣会社はヒューマニックでした。ヒューマニックは福利厚生・特典が充実していることで、リゾバスタッフたちの間で有名です。

さらに派遣社員は、派遣会社から有給休暇を取得することができます。同じ派遣会社で、6ヶ月以上継続して働けば、有給を10日間もらうことができます。ホテル業界は有給を取得できない現場もあるため、その点においても直接雇用より派遣社員のほうが優位と言えます。

その他、温泉やドリンクコーナーなどの館内施設を無料で利用できるところもありますし、冬にスキー、スノボをする方であれば、スキー場の求人に派遣会社から応募すると、リフト券とウェアを無料で借りることができるところもあります。直接雇用でもそうした特典を利用できることもありますが、少なくとも同じ現場で直接雇用より派遣社員の待遇が下回るということはないと断言できます。

リゾートバイトの直接雇用でのメリット

条件面を除いたとき、直接雇用であってもメリットは存在します。

一つはシフトの融通が利きやすい点です。特にアルバイト・パートで勤務する場合、勤務先が固定シフトでなければ、休みを自由に設定しやすい場合があります。勤務先にもよりますが、例えば、休みの数を少なくしたり多くしたりすることや、土日のみの勤務、一度1ヶ月間休むなど、交渉次第で自由に働き方を決めることが可能です。

※ただし住み込みで働いているなら、出勤日数を減らすことは難しいと思います(ホテル・旅館からすれば、働く代わりに住む場所を提供しているわけですから)。ここでは、あくまで派遣社員よりもという意味です。

もう一つは、年末年始の間も勤務していると、ホテル・旅館が年末調整をしてくれます。派遣社員は、1年間同じ会社を使わない限り、自分で確定申告をしなければならないため、源泉徴収票の発行等が必要となります。

リゾートバイトで派遣会社を使うメリット

条件面以外にも、派遣会社を使うことで多くのメリットがあります。

まず、派遣会社のサイトは、求人数が非常に多いです。2000件以上の求人が存在する派遣会社もあるくらい、リゾートバイトの派遣社員は引く手あまたと言えます。

直接雇用でリゾートバイトの求人を探すにはアルバイトの求人サイトから探す必要がありますが、派遣会社のサイトを使えば、数ある中から自分の希望にあった求人を、担当者のアドバイスを受けながら選ぶことができます。

それから、派遣会社から、勤務先の詳細な情報を聞くことができます。

リゾートバイトをする上で、勤務先の実態を前もって把握することは、必要不可欠な作業です。派遣会社から応募することで、例えば職場の人間関係や、寮やその周辺環境、勤務の内容や、平均的な労働時間、支給される食事、ホテルや寮のWi-Fiの強さ、電波のつながりやすいキャリアのことなど、ありとあらゆる情報を担当者から電話で聞くことができます。

一方直接雇用のアルバイトとして勤務する場合、そうした情報は勤務先に直接聞かなければなりません。手間がかかることはもちろんですが、それよりも正しい情報が手に入りにくいです。ホテル側からすれば、都合の悪い情報はあえて言う必要がないため、実際の状況とまったく違うことを言われる可能性があります。

私が直接雇用で勤務した派遣先では、Wi-Fi完備と旅館先から聞いていたにも関わらず、いざ到着してみるとWi-Fiはあるが全然繋がらないという状態でしたし、無料の洗濯機もあると聞いていたのに有料のコインランドリーしかない、館内浴場も使えると聞いていたのに使えないという有り様でした。そのリゾートバイトは夏休みの短期で済みましたが、勤務先からの情報はかえって当てにならないと実感した出来事でした。

また、応募→採用までの流れが非常に早いというのもメリットです。

通常のパート・アルバイトの仕事に応募する場合では、顔写真、履歴書などを応募先ごとに用意しなければなりませんし、勤務先との面談を行う必要があります。しかし派遣会社から応募することで、そうした手間をすべて省くことができます。顔写真や職歴は派遣会社に登録することで何度でも使えますし、面談も派遣会社と一回行うだけで十分です。あとはその情報をもとに、応募先のホテルと派遣会社がやり取りをしてくれます。

私の場合、リゾートバイトに応募してから採用の連絡まで、3日以内に済むことがほとんどです。アルバイトへの応募なら、準備を含めると、ここまで早くはできないと思います。仕事を得るための手間がかからないという点が、派遣会社を利用する大きなメリットです。

そして、担当者が就くことでさまざまなことを相談できます。

例えば、仕事が難しくて苦労している、職場の人間関係で悩んでいるといったことや、家族が病気なのですこし休暇がほしい、時給を少し上げたいといった要望まで、さまざまな内容を担当者に相談できます。リゾートバイトではたいてい知らない土地に行くため、なんでも話を聞いてくれるそうした存在は、非常に心強いと言えるでしょう。

※しかしながら、担当者が親身に相談に乗ってくれるかどうかは、派遣会社や担当者の性格によって大きく差が生じます。なかにはリゾバスタッフに対して、思いやりのかけらもない担当者もいますので、そうした当たり外れがあるということは、頭に入れておいてください。

私はヒューマニックとダイブを使ってリゾバをすることが多かったですが、担当者は今のところ全員親切な方でした。ヒューマニックの担当者は頻繁に電話をかけてくれますし、ダイブは担当者とLINEで気軽に話すことできるので、上記の2社ではリゾバスタッフとして大切にされやすいという点でおすすめです。

派遣から直接雇用になるパターンもある

例外的なケースとして、派遣社員→直接雇用に代わるパターンも存在します。

例えば、

  • 繰り返し勤務しているから派遣会社を使わずにホテルとやりとりしている
  • 時給を上げてもらう代わりに直接雇用になった
  • 本格的に社員として働くことにした

など、さまざまな理由で直接雇用へ移行する場合があります。ただし、そのことにメリットがあるかどうかは、その場の状況によって大きく異なります。説明してきた通り、基本的には派遣社員であることのほうがメリットは多いので、「そういうこともあるんだなぁ」程度に留めておきましょう。

経験上、直接雇用に移行するパターンのうち、派遣→社員へそのまま就職する人が最も多かったです。これは派遣社員から正社員への移行となるため、実質的なキャリアアップと捉えることもできます。

つまり、彼らは正社員雇用というメリットがあるから移行したのであって、メリットもないのに直接雇用に移行する人は非常に稀です。やはり特別な理由がない限りは、派遣社員として勤務することをおすすめします。

直接雇用でのリゾートバイトの探し方

それでも何かこだわりがあって、直接雇用でリゾートバイトに応募したい方にも、方法があります。

一つは、アルバイト・パートの大手求人サイトで探す方法です。検索ワードを絞ればおそらく見つかりますし、中にはリゾートバイトの直接雇用の求人をピックアップしたサイトも存在します。だだし地道な作業が必要ですので、希望に当てはまる求人を見つけるまでに時間がかかるかもしれません。

もう一つは、リゾバの派遣会社から見つける方法です。実を言うと、派遣会社の求人の中には、職業紹介という形で直接雇用の求人が存在します。派遣会社から応募するため、採用までの流れや待遇などは派遣社員と変わりませんが、給料の振り込みなどの管理は勤務先であるホテル・旅館が行うことになります。特に夏の大型プールや、冬のスキー場などの企業が、一括でアルバイトを募集することが多いので、そうした求人を狙うこともできます。

さいごに|基本的にリゾートバイト派遣会社を使う

再三説明してきた通り、基本的には、ヒューマニック、ダイブ、アルファリゾートなどの派遣会社を使うことをお勧めします。

特にまだリゾートバイトをしたことのない方は、直接雇用で求人を探すのは危険です。知らない土地で数ヶ月生活するということは、それなりにリスクもありますし、人によっては大きなストレスとなります。それゆえ、職場や土地に関して詳しい人のアドバイスは必要不可欠となるでしょう。

個人的には待遇が良いということよりも、そのような派遣会社サポートが、実は最大のメリットなんじゃないかと思っています。

リゾバライフを充実させるためにも、派遣会社は大きな見方になってくれます。