リゾートバイトをしていると「もう一生リゾートバイトで旅しながら生きていこうかな…」なんて一度は考えたことがあると思います。
私も何度か、一生リゾートバイトをしようかと考えたこともありました。
実際に、高校を卒業して10年間リゾートバイトしている人に出会ったことがあります。
一生リゾートバイトはありなのか?なしなのか?
結論を言えば、私は「なし」だと思います!
なぜ私が、「なし」という考えに至ったのかを説明していきます。
リゾートバイトで一生暮らすことは可能

リゾートバイトは観光地が存在する限り、求人が存在し続けます。
給料も月15万〜20万程度なので、浪費しなければ毎月10万〜15万の貯金ができます。
社会保険にも入れるので老後の厚生年金も期待できて心配することはほとんどありません。
しかし、生きにくい生き方かもしれません。
理由がない状態で、リゾートバイトを長くやっていると世間からの風あたりが強くなります。
学校を卒業したら正社員で働くのが一般的なのに対してアルバイトや派遣社員で働くとやはり、否定的な意見が多いです。
「自分は自分だ!」「他の人にどう思われようと関係ない!」と思っていても、やはり同年代の人達と比較してしまって落ち込みます。
私も、リゾートバイト長年をやっていた時は、何度も友達と比較してしまい落ち込むことがありました。
一生リゾートバイトの人生を望んでいる人はいない
今まで、「ずっとリゾートバイトをしていこう」と考えている人に私は出会ったことがありません。
皆さん、リゾートバイトを体験してみたい!お金を貯めたい!次の仕事までの繋ぎ!仕事がない…という状況の人ばかりでした。(それ以外は知らない)
つまり、やっている人がいないということは、望まない人生だと思います。
リゾートバイトを長く続ける事を肯定する人もいますが、実際にはその人も長期間リゾートバイトをしていません。
他人事と考えれば勧められるが身内だとそうはいかない
「自分らしく生きる」「他人と比べないで生きる」その考えはすごくいいと思います。
しかし、身内にリゾートバイトを一生している人がいたらどうでしょうか?
例えば、兄弟や両親。説得して正社員を勧めると思います。
他人事なら「そういう生き方もあるよね」と言えますが、身内(大事な人)にはそう言えないのが現実です。
派遣社員を長く続けるという事を忘れてはいけない
「旅をしならが気楽に暮らす」などの楽観的な考えがありますが、悪く言うと「派遣社員で転々として暮らす」という事です。
一般的に派遣社員を長く続けるのはデメリットが大きいとされています。
リゾートバイトの派遣会社や情報サイトは綺麗事ばかり書いていますが、現実を見ることも大切です。
一生リゾートバイトすることに限界を感じた体験談

私がリゾートバイトを7年やっている38歳の先輩に「〇〇さんって何か悩みってあるんですか?」って聞いたことがあります。
すると、「今こうやってここで働いてるのが悩みかな…」と返事をされて、言葉に詰まったのを覚えています。
30代以上で長くアルバイトや派遣社員をするのは訳ありな感じがします。実際に、30代以上で長くリゾートバイトしている人は悪い意味で変わっている人が多かったです。
リゾートバイトの悪いところは、楽しく居心地が良いがゆえに何年も繰り返し続けてしまうことです。
なかなか抜け出せないため、他の仕事が出来ず10年以上在籍している人もたくさんいます。一度、農業のリゾートバイトを辞めて地元に戻り通年雇用の仕事を見つけたのに、上手く行かずにまた戻って来る人もいます。
体力面ではきつくても単純作業なので体ひとつでできますし、2年目からは毎年だいたい決まった農家さんのお宅を渡り歩くルーティンみたいなものが出来上がります。
寮に帰れば友達もいる、仕事も仲の良い人と一緒になることもある。農家さんも面倒を見てくれたり気にかけてくれたりと優しい。楽しいことだらけです。
その環境から抜けて毎日会社通勤をすることを思うと、ずっとこのままでいたいと思いますし、普通の会社員に戻りにくくなります。
私も楽しくて3年以上続けていたら、農家さんや一般の企業に勤める方に「いつまでも続けるものじゃないよ」「ただ楽しいだけじゃだめだよ」と言われたことがあります。
季節雇用のアルバイトという形で何年も続け、40代50代になった時にそこから別の仕事を探そうとしても難しいですし、リゾートバイトと言うのは比較的若い世代の人がするイメージが強いと思います。
楽な方に行きたくなるけど、現実も見てしっかり生きるんだよということを伝えたかったのだと思います。
一生リゾートバイトをすることのメリット

社会保険が整っている
メリットというのはちょっと語弊があるかもしれませんが、リゾートバイトでも社会保険に加入することができます。
- 雇用保険
- 健康保険
- 厚生年金
- 労災保険
職場が合わないときは職場を変えられる
リゾートバイトの雇用期間が短くて2週間、長くて3ヶ月なので今の職場が気に入らなかったら他の職場で働くことができます。
延長も簡単にできるので、自分が居心地が良い職場でずっと働くことができます。
人間関係も辞めてしまえば関わりがなくなるので、トラブルがあった時でも安心です。
リゾートバイトを長期で続けていると、正社員での雇用の提案をしてもらえる職場が多いです。ホテルや旅館にとっては、勤務歴が長い人材を手放したくはありません。すでに働いている実績もあるので、正社員雇用するのには安心感があります。
勤務先の社員さんはリゾートバイトから正社員になったという方も多く、短期間働いてみて、この場所で長く働きたいと感じた場合に、こちらから正社員の提案を出してみるのもいいでしょう。
中には、ホテルのマネージャーまで昇格した凄腕もいました。
一生リゾートバイトはデメリットが多く将来性はない

長期間リゾートバイトをやる人が少ないのは理由があります。
- 給料は高くはない
- 短期雇用なので単純労働
- スキルが身につかない
- 年齢を重ねると転職が難しい
- 結婚と子育てのハードルが高い
- 社会的信用が低い
- 転々とするのにも飽きる
それぞれを説明していきます。
給料が低く、ボーナスの支給がない
リゾートバイトは派遣社員もしくはアルバイトなので、基本的に給料は低くボーナスがありません。
年齢 | 年間ボーナス平均支給額 |
---|---|
20〜24歳 | 32万2,700円 |
25〜29歳 | 72万7,800円 |
30〜34歳 | 94万900円 |
35〜39歳 | 109万8,100円 |
40〜44歳 | 131万4,700円 |
45〜49歳 | 158万600円 |
50〜54歳 | 171万5,300円 |
リゾートバイトは月に10万〜15万貯金できますが、昇進や昇給がほとんどなく、ボーナスがないので金銭的には辛いものがあります。
リゾートバイトをやっていてよく聞く言葉が、
新卒で20万で働くよりリゾートバイトをやったほうが稼げるよ!
その通りかもしれませんが、昇進・昇給・ボーナスを考慮していません。
客観的に正しく言い直すと、
1~2年で辞めることを想定して働くと、新卒の平均月給で働くよりリゾートバイトしたほうが貯金ができる。スキルは身につかない。
給与的には新卒よりは貯金ができますが、スキルがほとんど身につかないのでトータル的に見たらマイナスだと思います。
もちろん正社員との比較で、アルバイトや派遣社員と比較すればリゾートバイトは待遇も良く貯金がしやすいです。
アルバイトと正社員では教育格差がある
「社員」と「派遣社員・アルバイト」の差で一番大きいのが「教育格差」です。
正社員は会社が時間やお金をかけて一流のビジネスマンに育てていきます。それに対して、アルバイト・派遣社員は今ある能力で一定の期間働いてもらうのが一般的です。
もし、リゾートバイトを20年経験しても将来転職する際にアドバンテージにはなることはありません。むしろ他の人よりスキル・経験がない分、不利になってしまいます。
私は、5年間リゾートバイトをしてきましたが、身についたスキルはほとんどありません。
接客業や単純作業はスキルが身につかない
「スキルは身につかない」と内容が少し被りますが、接客業を例え10年やったとしても何も残りません。
もしこれが、スキルが身につく職種なら全然ありですが、リゾートバイトではスキルが身につく職種はほとんどありません。
リゾートバイトでスキルが身につく職種といえば、「調理・情報発信・WEB管理」くらいでしょうか。ただこれらの職種は業務経験などの経歴がないと応募することができません。
年齢を重ねてからの転職は難しくなる
私は、IT系しかほとんど知らないですが、IT系に関していうと未経験30歳以上は基本的に募集要項から外れてしまう場合が多いです。
採用側からすると、「年下の先輩とうまくやっていけるか」「キャリア育成できないんじゃないか」と不安が残ります。実際に、「無料プログラミングスクール」では29歳までは無料だったり、30歳以上はお断りの場合が多いです。
結婚や子育てのハードルが高くなる
リゾートバイトをしている男性の方は、女性から結婚相手としてみられることはほとんどありません。もちろん、リゾートバイトで知り合って結婚する方もたくさんいます。しかし、男性が後に正社員となってから結婚する場合がほとんどです。
そして、子育てに多額の養育費がかかります。リゾートバイトの給料が月に18万円だとして、結婚すると寮には住めなくなるので家賃もかかってきます。その中で子供の教育費を払って行くのは厳しいと言えます。
一方、女性はあまり影響がありません。しかし、男性目線では、アルバイトや派遣社員を長く続けている女性に対して「この人結婚しても大丈夫なのかな…」と少し不安になってしまいます。
社会的信用が低い
私自身リゾートバイトをしていると、クレジットカードに落ちることもありました。
ローンや銀行から融資を受けようとしても、派遣社員という身分ではかなりきつくなってしまいます。少額なら可能かもしれませんが、金銭問題では苦労します。
もちろん、リゾートバイトでも高所得なら問題はなさそうですが、現時点ではナイトワーク以外給与が低いので、どの仕事をしても厳しいと思います。(夜の仕事はクレジットカードの審査が通りにくいです)
他にも、20代30代でリゾートバイトをしているならいいのですが、40代50代でリゾートバイトをしているのは少し否定的な目で見られます。これはリゾートバイトの職場でも感じたことです。
日本を転々とすることに飽きが来る
初めて軽井沢に行った時は、「軽井沢って夏なのに涼しいってすごい!」そして、香川に行った時は、「本場の讃岐うどんはコシがあって美味しい!」なんて思いました。
しかし、日本各地旅をすることに飽きがきます。
何を見ても、「あぁまぁこんなもんだろ」「京都の方がすごかったな…」なんて新しい土地に対して無関心になってきます。私は、リゾバ3回目くらいからは時給と楽さを重視して選ぶようになりました。
リゾート地を転々としていると新鮮味や感動がどんどん薄れていってしまいます。
派遣法改正で同一労働同一賃金でほとんど変わらず

2020年4月1日から派遣法改正で「同一労働同一賃金」が施行されました。リゾートバイトの派遣労働者も正社員並みの収入になってくると噂されてましたが、結局は何も変わりませんでした。
「雇用形態にかかわらず、同じ仕事をする労働者は同じ賃金を得る」というものですが、正社員と派遣社員では仕事内容が違うため、同じ仕事と判断するのは難しいようです。
そもそも、現地の正社員さんはリゾートバイトで働く派遣社員よりも給料が安いという事もよくあるので、派遣社員は必ずしも正社員より給料が良くないとは言えません。
まとめ|リゾートバイトを一生するのは可能だがおすすめしない

リゾートバイトで一生暮らすのは可能ですが、現実的ではありません。10年以上している人はほとんどいなく、長くても5年を区切りにリゾートバイトを辞めています。
リゾートバイトは自己投資や貯金が必要な人に向いています。そして、その資金で稼げる手段を得るのが最善のリゾートバイトの利用方法だと思います。
- 私の場合:個人貿易とサイト運営が軌道に乗るまでリゾートバイト
- 世界一周するためにリゾートバイト
- 留学費用のためのリゾートバイト
もちろん、学生の方や仕事のつなぎで使うのも賢い使い方です。
漫画家として生活していけるまでリゾートバイトを長期間している人もいました。そのような方はたとえ一生リゾートバイトをするとしても、正しい一生のリゾートバイトだと思います。
なんとなく続けるのは否定的です。とはいえ、リゾートバイトはお金が確実にたまるので、とりあえずやっておくのもいいかもしれませんね。
正社員のハードワークで疲れて退職、そこからリゾートバイトでリフレッシュし、貯金を貯めて、また正社員に帰っていく人も多くいます。
