日本各地において住み込みで働くリゾートバイトは、ホテルや旅館、レストランなどでのお仕事が多くありますが、それだけではありません。農家さんに住み込みで働く農業のお仕事もあります。
私も全国いくつかのホテルの職場でリゾートバイトをしたことがありますが、愛媛県八幡浜地域のミカン農家さんで、農業の住み込みバイトをした経験しました。
この記事では、どんな仕事をしたのか、農業はきつくないのか、といった農業リゾートバイトがどういうものであるのかを、私の農業リゾートバイトの体験談を通じて紹介していきます。農業リゾートバイトに興味を持っている人、気になっている人は是非最後まで読んでみてください。
みかん農家でのリゾートバイトの仕事内容
私がミカン農家でリゾートバイトをした期間は11月上旬から12月中旬までのおよそ1カ月半でした。これは、農家さんがミカンの収穫を始めたすぐの時期から収穫が全部終わるまでの間、収穫時期のお仕事でした。
収穫時期だけで期間も短いので、農業バイト未経験という人にとっては選びやすい仕事だと思います。私も個人的に期間、仕事内容、この後紹介しますが生活面も含め、すべて総合して、おすすめしたいお仕事です。
ミカン農家での仕事内容については、収穫時期の短期雇用の募集となっており、文字通りほぼすべての仕事が収穫作業です。収穫作業は、摘果鋏とかごを持ちながら木に生ったミカンを摘み取ってひたすら収穫していきます。
その中でも私は運び屋さんと呼ばれる作業を主に担当し、収穫したミカンでいっぱいになったコンテナを運ぶ作業を中心に動いていました。収穫したミカンでいっぱいになった重さ10㎏以上はあるコンテナを畑から持ち運び、軽トラに積み込んでいきます。
ミカン畑は山の斜面に沿った段々畑になっていて、コンテナを畑から運び出すときにはモノラックを稼働させて、軽トラを止めた道路まで移動します。また、畑にはミカンが入ったコンテナを運ぶためのレールが敷いてあるところが多くありました。これで台車にコンテナを乗せてレールを滑らせて移動させることができるので、運びの作業を助けてくれます。
そうはいっても、レールがないところはモノラック、あるいは軽トラまで手で持ち運ばなければいけません。台車にコンテナを乗せるとき、モノラックから降ろして軽トラに積み込むときなども、人力で手を使って持ち運ぶので結構な力仕事です。
みかん農家での1日のスケジュール
ミカンの収穫作業の仕事は毎日朝7時から始まります。午前中の作業は7時から11時30分までで、昼食休憩をとり、午後の作業は12時30分から16時30分まで、というのが一日の流れです。
作業の間には、午前と午後の一回ずつ15分ぐらいの小休憩があります。時間帯は大体ちょうど中間にあたる午前9時ごろ、午後は14時半ごろでした。休憩時間を除いた作業時間は一日8時間です。
午後の休憩のときは、農家さんがいつもお菓子を用意してきてくれるので、みんなでお茶タイムの時間です。作業している間も、一緒に作業している人と雑談していることは多いのですが、この時間は全員で集まって一息を入れる時間です。明るくなごやかな雰囲気で一息入れることができ、ここまで頑張った、残りあと少し頑張ろうという気持ちにもなることができます。一緒に作業する仲間と同じ時間を共有できるこの時間は、このお仕事の中でもとても好きな一時で、私はいつも楽しみにしていました。
期間中のお仕事の休みについてですが、休みは不定休です。雨が降って畑で作業ができないような日が休みとなります。そのため、休みが設定されていることはなく、基本的には毎日収穫作業があります。朝から雨が降っている日は農家さんから連絡が来て、半日、あるいは一日休みになります。また、作業途中で雨に降られた場合も雨が強くて、作業が続けられないときは中止となります。
ミカン農家の農業リゾバのきついところ
「ミカン農家のお仕事はきついの?」この点は気になる人が多いと思いますので、少しお話しておきたいと思います。
個人的にはという但し書きがついてしまいますが、私はきつさはあまり感じませんでした。確かに主な作業が収穫したミカンの運びとなるので、力仕事であることは間違いないです。力仕事であるがゆえにきつさを感じることもありますが、これは農業の仕事全般に言えることでもあると思います。もちろん農家さんによって作業内容や量は異なるでしょうし、どう感じるかも人それぞれではあるでしょう。
私も最初は腕も足も筋肉痛になって、腰に張りが出たりもしましたし、作業中の瞬間瞬間では大変さ、きつさを感じることが何度かありました。ただ、体も慣れてきますし、むしろ毎日体を使うことでよく眠れて健康的な生活が送れるようになったという点は良かったと感じたところです。
また、私がお世話になった農家さんがとても良い環境だった、厳しいところではなかったという点もあると思います。どこか痛いところがあったら遠慮せずにすぐ言ってきてくれ、あまり無理はしないようにと言ってもらっていました。期間中に「体は大丈夫?」「無理はしてない?」というような旨の言葉も頻繁にかけてもらいました。
作業は農家さん家族と私たちに加えて、毎年来る地元のアルバイトの人たちがいて、多くの日で10人前後で進めていきます。ミカンを木から摘み取るのはおしゃべりしながらでできますし、畑はなごやかで明るい雰囲気に包まれていることが多かったです。私にとっても、とても居心地のいい環境で作業ができたことが、きつさを感じなかった理由のひとつとして間違いなくあります。
ミカン農家でのリゾバの生活について
続いては、お仕事期間中の寝起き、食事など生活のことについてお話していきます。短期のリゾートバイターの住環境については、住み込みとなっていて、農家さん家の部屋の一室を借りたり、離れを借りたりという場合が多いように思います。場所によっては、アルバイターのための寮に入るということもあるでしょう。
私は農家さん家に住み込みという案件のお仕事だったのですが、私がお世話になった農家さんの場合は、農家さんが持っている2階建ての一軒家を丸ごと貸してくれました。この年の短期のリゾートバイターは私ともう1人の2人だったので、2人でこの家を借りて共同生活という形でした。農家さんからお話を聞いたところ、空き家を格安で買ったのだか譲っていただいのかして、毎年来るアルバイターの人たちのために用意しているということみたいです。
もちろんキッチン、お風呂、トイレは完備されていて、居間やキッチンには冷蔵庫や洗濯機に電子レンジ、ヒーター、テレビなどの家電、テーブルと椅子と部屋には布団という家具も置いてあり自由に使わせてもらいました。さらに周辺の移動用に自転車2台も貸してくれていて、一言声をかけて、農家さんご家族が使う予定がなければ車も貸してもらえて使わせていただくことができました。
水道代、光熱費などは全て負担してもらえて、寮費のようなお金もとられません。というわけで、寝起きや買いものも含めた日常生活や移動という生活環境はとても便利で、快適な中で過ごすことができました。これはあくまで私がお世話になった農家さんの話であって、私も幸運なことだったと思っていますし、良くしていただいた農家さんにも感謝しています。
続いて食事についてですが、食事は自分たちで用意します。給料に加えて食費として、1食500円、1日3食分で1,500円の支給があります。私は朝食は食べないことの方が多く、昼食にお弁当を自分で用意して持っていき、仕事終わりに家で自炊して夕食をとっていました。
食材は、お米だけは農家さんから分けていただき、残りは買い出しに行っていましたが、スーパーは自転車で約10分の場所にあり、とても便利でした。さらに、この収穫時期は農家さんにとってとても忙しいので農家さん向けの給食配給サービスがあり、農家さんからその配給サービスで配られるおかずを分けてもらうときもあります。また、ときには飲食店が近くにいくつかあるので、外食をすることもありました。名物であるチャンポンを食べたり、パン屋さんでパンを買ってきたりしていました。
ミカン農家の農業リゾバで稼げる額
「農業リゾバってどれくらい稼げるの?」という点も気になると思いますので、お伝えできるところは少ないかもしれませんが、お話しておきます。
時給は、ここの農家さんのそれがいくらだったのかというのを私は正確には覚えていないのですが、確か1,000円か、あるいは1,050円だったかと思います。労働時間は一日8時間で、残業というかそれより働いた日はなかったはずだと記憶しています。それに前述した食費が1日分1,500円、そして、帰るときに交通費も精算して全額が支給されます。
私が働いた日数は34日で、全てまとめた総支給額は357,000円でした。ひと月で考えると、稼げる額は20万強くらいではないでしょうか。このように特別稼げるわけではありませんが、私はお金のことはあまり考えてなかったですし、とても満足しています。それは、自然の中で農家さんや他のバイトの人たちと一緒に作業して過ごした時間をはじめとして、お金ではない価値をたくさん得ることができたからです。
ミカン農家の農業リゾバで私が満足できた理由や嬉しかったこと
私にとってミカン農家で農業リゾバのお仕事ができたことは、とても良かったと感じることでした。
この記事を読んでくれている人にもおすすめしたいお仕事のひとつなのですが、そう思うのはなぜなのか、私がここでお仕事して満足できた理由と嬉しかったことについて最後にお伝えしたいと思います。
作業中の明るい雰囲気と交流
私がこのミカン農家さんでお仕事ができて良かったと思えた、満足できた理由は充実感です。適度か、あるいはそれ以上に体を動かすともいえる作業で、冬に入ろうかという時期にもかかわらず、汗をかいたり、日を浴びて肌も少し焼けたりというようなことがあります。
作業後には達成感を感じますし、夜は充実した疲れでぐっすりと眠ることができます。
また、それだけでなく畑で仲間と一緒に作業すること、交流することで感じる気持ちの良さもあります。はじめは私も不安や緊張を抱えていましたが、日を重ねるうちに環境と一緒に仕事する仲間たちに馴染むことができ、とても楽しく作業ができるようになっていきました。
ここの農家さんの畑では大体10人前後で作業するのですが、作業する仲間は老若男女といえるほどで、いろんな世代の人たちと仲良く作業することができました。農家さんご家族は ご主人とそのお父さんとお母さん、ご主人の息子さん、そこに住み込みバイトの私ともう1人、さらに毎年来ているアルバイターのみなさんは50から60代の男性2人に女性1人、旦那さんが自由業の30代の女性に、このシーズンは高校生男子の2人も週末にアルバイトで来ていました。
たまに知り合いや友人で1日だけ来る人とかもいて、たくさんの人と一緒に作業したり、楽しくお話したりすることができました。作業中は手を動かしながら、年配の人と明るい性格のご主人の息子さんを中心に話の輪が広がり、常に明るくなごやかな環境がありました。
ミカンが食べ放題
さらに、このお仕事期間中、基本的にミカンが食べ放題だったことも特に嬉しかったポイントです。作業中の休憩時間に、みんなで収穫してコンテナに入れたミカンをとって、食べながら談笑しているのは日常の風景でした。
作業中の休憩時間に、作業後の家で食後のデザートに、さらには厚意で自宅にまでミカンを送ってもいただき、おいしいミカンをたらふく食べさせてもらうことができました。個人的に果物がすごい好きで、ミカンも好きだったので、こんなご褒美はないという思いでした。
もちろん観光も
他の観光地のホテルでのリゾートバイトと同じように、農業リゾートバイトも休みの日は付近の観光スポットや名所に行ったりと観光を楽しむことができます。
休みは不定期で基本的にはないのですが、途中で1日畑に農薬か消毒薬か何かを撒くということで作業ができない日があり、休みになった日がありました。また、観光に行きたいのでと個人的に農家さんにお願いして休みをもらった日も1日だけあります。この休みを利用して、遠出して観光に行くことができたのは、期間中の良い思い出のひとつです。
電車に乗って同じ愛媛県の松山、そして生活環境の近くに四国と九州を結ぶフェリーが出ていて、これに乗って九州は大分県に渡り、それぞれ1日使って存分に観光してきました。松山では道後温泉に松山城、市街地観光、大分の別府ではひとりで温泉巡りをして楽しめました。また、普段も自転車ですぐ行ける距離に温泉があって頻繁に入りに行っていたので、この期間はたくさん温泉に入った気がしています。