私が今までで一番楽しかった!!経験できて良かった!!と言える仕事が農業ヘルパーです。
農業のリゾートバイトと言っても全国各地にいろんな会社や作業内容がありますが、私はその中から北海道富良野市での「農作業ヘルパー」の仕事を選びました。
この記事では、農業ヘルパーってどんなことをするの?楽しいの?辛いの?と気になっている方へ、富良野での農業ヘルパー経験4年の私が解説したいと思います!
私が農業ヘルパーを始めたきっかけ

私が農業ヘルパーをしようと思った理由は、友人からいただいた「深呼吸の必要」という映画のノベライズ本がきっかけでした。
平凡な派遣社員だった主人公が、自分を変えたくて沖縄のキビ刈り隊のバイトに応募し、出会った仲間達や農家さんとキビ刈りを通して絆を深めていくお話です。
とても貴重な時間を過ごしている主人公の姿に、私もこんな経験がしたいと思いました。
行くなら沖縄か北海道がいいなと思いましたが、沖縄料理が苦手だったので北海道に決めました。
農作業ってどんなことをする?

私の経験した中では作業場所が3つに分かれました。
- 屋外の畑で作業する露地の仕事
- ビニールハウスの施設内で作業するハウスの仕事
- 工場内での選別の仕事
更に作業内容もたくさんあります。
- 雪割り…ビニールハウスに残った雪をスコップで割る。
- ビニールハウスの組み立て
- 種蒔き
- 接ぎ木…苗を丈夫にするため、違う品種の植物同士を接着させること。
- ネット張り…ハウスの側面に蜂が逃げないためのネットを張って固定する。
- マット敷き…ハウスの中の通路の地面にマットを敷く。
- 定植…苗を植えること。
- パオパオかけ…露地の畑に定植した苗が寒さにやられないように不織布(パオパオ)をかける。
- トンネル作り…露地の作物を寒さから守ったり温度調整のためビニールをかけてミニサイズのハウスを作る。
- 田植え
- 芽かき…栄養が分散しないように余分な葉っぱを取ること。
- 誘引…伸びた作物が重みで落ちないように専用のテープナー(結束機)と言う器具でビニールテープに止める。
- 除草
- 収穫
- 選別…収穫した作物を規格ごとに分けたり、腐っている物や変形した物をよける。
- 石拾い
- ハウスの片付け
また作物の種類も豊富です。
こちらも私が経験した物になります。
- 水稲
- 花
- アスパラ
- メロン
- ミニトマト
- スイカ
- 南瓜
- イチゴ
- ほうれん草
- ピーマン
- ニンニク
- スナップエンドウ
- ビート
- 玉ねぎ
メインのものはだいたいこんな感じでした。
女性はほとんどが春はメロン、夏はミニトマト、男性はスイカの仕事に行っているイメージが強いです。
寮は富良野農業体験者滞在施設

駅から車で5分程度の「富良野農業体験者滞在施設」が約半年間お世話になる寮です。富良野では農作業するアルバイトのことをヘルパー、寮のことをヘルパー寮、1年以上連続で来ているヘルパーをリピーターと呼んでいました。
ヘルパー寮には全国からたくさんのヘルパーが集まります。
ピーク時には120名近くのヘルパーでいっぱいになり、下は18歳くらいから上は45歳くらいまでと年齢層も広く、全体の約3分の2近くが女性です。
農作業は体力のいる仕事なので男性が活躍するイメージが大きいと思いますが、先程話した芽かきなどの細かい繊細な作業が多いので女性の方が多いようです。
6畳程の小さな部屋ですが、ベッドも暖房も机もあり、一人で生活するには充分で快適です。現在は全室Wi-Fiが完備されています。
同じ建物内ですが男子寮・女子寮でフロアが分かれており管理人さんも常駐しています。
門限は22時で過ぎると玄関の鍵を閉められます。
お風呂・トイレ・洗濯機・乾燥室は共同になっており、お風呂は大浴場でシャワーの個室です。トイレ、洗面台、洗濯機、乾燥室、冷蔵庫、テレビも各階にあり共同です。朝は洗面台とトイレが、夕方は洗濯機が取り合いになります。
自転車は無料で貸し出しがあります。
食事は当日出勤の人のみ1階の食堂で食べることができます。寮内で唯一男女が顔を合わせる場です。食品会社のパートさんが朝と晩に食事を作りに来て、人数分を用意してくれます。

お昼はお弁当です。会社で支給された、大容量の円柱形のお弁当箱におかずが用意されており、お米とお味噌汁だけ自分の食べたい量を詰めて持って行きます。
保温機能がありしっかり密閉されているので、お昼になっても温かいお味噌汁とお米がいただけます。
農業リゾートバイトの当時と現在の契約内容

2010年~2013年、私が働いていた頃の契約です。
- 作業時間:7:30~17:00(ほぼ残業なし)
- 時給:850円
- 休日:週1日
- 寮費:1日700円(家賃の代わり・光熱費込み)
- 食費:1日1050円(3食・昼はお弁当。出勤の日のみ)
- 社会保険完備
そして現在は、
- 作業時間:7:30~17:00
- 時給:1000円
- 休日:週1日
- 寮費:1日300円(家賃の代わり・光熱費込み)
- 食費:1日1100円(3食・昼はお弁当。出勤の日のみ)
- 社会保険完備
となっており、昔と比べて待遇がずいぶん良くなっています。
農業ヘルパーの仕事の1日のスケジュール

勤務前日の18:00までに食堂前の掲示板に翌日のスケジュールが発表されます。
ヘルパー個人の名前、集合時間、作業開始時間、行き先の地区、農家さんのフルネーム、仕事内容、送迎バスの名前が一覧になっています。
その一覧の中で自分以外のヘルパーの所にも同じ農家さんの名前があれば、その人も一緒に作業するということです。なければ自分一人だけということです。
だいたい7:00から7:10くらいに寮の駐車場に集合で、近辺の農家さんでのお仕事の場合農家さんが直接自家用車でお迎えに来てくれますが、遠方の場合はマイクロバスに乗りその地区の農協前に降ろされます。
私がお世話になっていた農家さんは山部という地区の方だったので、私は7:00発の山部行きのバスによく乗っていました。
山部の農協前にバスが到着すると、何人かの農家さんが自家用車でお迎えに来ていて、それぞれ自分の働く農家さんを探して車に乗り込みます。
農家さんのお宅に到着したら作業開始です。
農作業は体力を使いますが、午前と午後に1回ずつ休憩があります。
午前はだいたい9:30か10:00。午後は15:00です。
この休憩がとても楽しみで仕事の励みにもなりました。これも行くお宅によるのですが、農家さんが用意してくださったお茶やジュースなどで水分補給し、お菓子をいただき、お話しながらのんびりした時間を過ごします。
天気の良い日に外で作業をしている時は、コンテナをひっくり返してその上に座り休憩するので、心地良い風に当たり鳥のさえずりを聞き、幸せだなぁと感じます。
「のどかだねぇ」という言葉がポロっとこぼれるくらい平和なこの時間が大好きでした。
農家さんによってはお話が止まらなくて休憩が30分を超える時もありますが、そうなると残り時間が少なくなりその分スピードアップして作業をしないといけないので焦ります。
バスでの送迎の場合帰りも全員が同じバスに乗って揃わないと出発できないので、残業はほとんどありません。
農業ヘルパーの休みと給料

休日は基本週1日です。
同じ農家さんのお宅に固定になり、ハウス作業をメインにしている人は、天候が関係ないのでほぼ週1です。
繁忙期で休日に自分の代わりに出勤できる人がいないと、お願いされて週1の休みすらなくなることもあります。
もちろん自分の意志で決められますが、普段ずっとお世話になっている農家さんが困っていると、よっぽど疲れていない限り出勤したいと思ってしまうんですよね。
反対に畑作業がメインの農家さんの場合、雨が降ると作業ができないため、悪天候が続くと休みも増えます。
収入面で困るので他の仕事に回してくれることもありますが、人手が余っている時はそれも難しいので、お給料が心配になります。
寮生活で光熱費も払う必要がなく、お金を使う場所もそんなにないので毎月数万円くらいは貯金ができました。
悪天候が続かず、固定で同じ農家さんに何か月入れればかなり稼げる仕事だと思います。
派遣先の農家さんは、必要としている人数や作業内容、この日までに終わらせたいという事情により変わります。
日替わりもあれば一週間続くこともあり、雨が降って作業が出来なければ2日空いてまた同じお宅へ行くこともあります。
また同じ作業でも農家さんによってやり方が微妙に違うことがあるので、農家さん側も何回も同じ説明をする手間を省きたいと思っていますし、自分の家に慣れた人に来て欲しいと思っています。
ヘルパーの中には次のような理由で一日でその農家さんから外される人もいます。
- 挨拶や返事をしない
- 指示したことと違うことをする
- 苗木を何本もダメにしてしまう
- 作業が極端に遅い
- 二日酔いで出勤する
ですが真面目に仕事に取り組み、仕事のスピードも速くなって気に入っていただけると、特定の作業が終わるまでの期間ずっと来て欲しいと農協を通してお願いされることが多いです。
例えば
- メロンの芽かきだと5月~6月の2か月間
- ミニトマトの収穫だと6月~9月の4か月間
このように、固定になると週1の自分の公休以外は仕事に入れるので安定します。
悪天候が続かず、固定で同じ農家さんに入ることが出来ればかなり稼げる仕事だと思います。
農業ヘルパーの仕事ってきつい?

契約の時、農協の担当者の方に言われたのが、「最初の一週間はかなり体がきつくて辛いからね。でも一週間を超えれば慣れるから、頑張って!」でした。
農作業は立ったり座ったり、中腰の体勢になったり、畑を一日中往復したりと肉体労働が続くので体が鉛のように重くなります。
本当に一週間で慣れるのか、こんなに毎日しんどいなんて無理だと思う瞬間もあるかもしれません。
でも必ず慣れます。むしろ筋肉痛がないと寂しくなることもあります。
辛いことよりも、動いていることや一日やり遂げた達成感を得られるので、生きてるなー!と実感できます。
また農家さんは仕事に厳しい方もいますが、とても温かい方が多く、帰りに「ありがとうね。明日もよろしくね」と感謝の言葉をいただけたりするので、少しでも早く作業を進められるように頑張ろうと思えます。
農業ヘルパーの特権は野菜を頂けること!

農作業を始めて得したと思うことは、農家さんからお野菜をいただけることでした。ヘルパー寮は自炊ができないですが、調理しなくても食べられる作物を帰りにいただけるととても嬉しいです。
また休憩時間にそのお宅で作っている物をいただけることも多いです。メロンやスイカ、ミニトマトなど色々ご馳走になりとても贅沢です。
そして仕事終了後に倉庫でバーベキューをご馳走になることもあり、おいしいお肉やお野菜をお腹いっぱい食べてとても幸せでした。
北海道富良野ではイベントが多いので楽しめる

富良野ではイベントがたくさんありましたが、特に印象に残っているイベントが北海へそ祭りと花火大会でした。
へそ祭りは毎年7月27日・28日に開催されます。名前の通りへそを出しお腹に絵を描いて街中を巡り歩くお祭りです。
私自身は踊る方には一度も参加しませんでしたが、見るだけで楽しい気分になれるので毎年どちらかの日には見に行っていました。

そして花火大会は空知川の土手で打ち上げられるのですが、本当に首が痛くなるくらい目の前で迫力のある花火が見られるので、都会で見た遠くに打ち上がる花火より何倍も感動して大好きでした。
農業ヘルパーのメリット、デメリット

富良野での農作業ヘルパーの良いところは、作業を終えた時に感じる達成感、充実感。農家さんや他のヘルパーとの交流です。
寮生活が楽しい!いろんな世代の人と仲良くなれます。この頃に知り合い、10年経った今も繋がっている仲間がいます。
反対に悪いところは、楽しく居心地が良いがゆえに何年も繰り返し続けてしまうことです。
なかなか抜け出せないため、他の仕事が出来ず10年以上在籍している人もたくさんいます。一度ヘルパーを辞めて地元に戻り通年雇用の仕事を見つけたのに、上手く行かずにまた戻って来る人もいます。
体力面ではきつくても単純作業なので体ひとつでできますし、2年目からは毎年だいたい決まった農家さんのお宅を渡り歩くルーティンみたいなものが出来上がります。
寮に帰れば友達もいる、仕事も仲の良い人と一緒になることもある。農家さんも面倒を見てくれたり気にかけてくれたりと優しい。楽しいことだらけです。
その環境から抜けて毎日会社通勤をすることを思うと、ずっとこのままでいたいと思いますし、普通の会社員に戻りにくくなります。
私も楽しくて3年以上続けていたら、農家さんや一般の企業に勤める方に「いつまでも続けるものじゃないよ」「ただ楽しいだけじゃだめだよ」と言われたことがあります。
季節雇用のアルバイトという形で何年も続け、40代50代になった時にそこから別の仕事を探そうとしても難しいですし、リゾートバイトと言うのは比較的若い世代の人がするイメージが強いと思います。
楽な方に行きたくなるけど、現実も見てしっかり生きるんだよということを伝えたかったのだと思います。
そしてヘルパーに応募する人の中には、農家になりたくて農業を学ぶために来る人もいます。ヘルパーとして一緒に働いているうちに付き合うようになり、結婚して2人で農家を始めた人達もいます。
私の場合、そっちの道へ進む気は全くありませんでした。
結婚願望がなかったので農家の嫁になりたいとも思わなかったですし、農作業は大好きでしたが一生農業をすると思うと、たまには休みたいとか趣味の観劇が出来なくなるとか自分の欲を捨てられませんでした。
そんないいとこ取りな部分を見透かされていたので、「いつまでも楽しいだけじゃだめだよ」という言葉を言われたのだと思います。
結局私は3年間ヘルパーを続け、辞めた後も完全には農業からは離れられず、その後も農業に携わる仕事やヘルパーから農家になった友達のお宅で作業をさせてもらったりしていました。
今は農業とは全く関係のない仕事をしていますが、ヘルパー時代に学んだ仕事の仕方は活かされています。
初めてミニトマトで固定になったお宅で、農家さんから4人のヘルパー全員にチェーン付きの時計を渡されたことがありました。ミニトマトの収穫の時、1ベットの片道を行って帰るまで何分かかっているか計測するためです。
そして休憩時間までにそれぞれが収穫したミニトマト入りのコンテナを、ヘルパーごとに分けて積み上げられるのです。
誰がどのくらい収穫出来たかはっきりわかるのでものすごくプレッシャーでしたが、だんだんスピードが上がって行くのが楽しく、手の動きをどういう風にすればスピードが上がるか考えるのがおもしろかったです。
北は北海道から南は沖縄まで日本各地のいろんな世代の人がひとつの建物に集まる経験もなかなかないですし、大人の学校みたいで青春してるなーと思いました。
そんな富良野で農作業をして過ごした日々は、今も私にとって大切な思い出です。
一生に何度もない貴重な経験ができて、行って本当に良かったなと思い出しながら仕事をすることも多いです。
今行こうか迷っている方がいるなら、試しに一度行ってみて!と声をかけてあげたいです。
農業ヘルパーの求人の探し方

どんなとこで働くか迷った時は、まずは私のように行きたい場所を決めると楽だと思います。または好きな野菜や果物の生産地で決めてもおもしろいと思います。
私は最初に「農業 北海道」「農業 富良野」「農業 リゾートバイト」「農作業 寮」などで探しました。
富良野の農作業ヘルパーの仕事は毎年2月くらいに募集が始まり、ホームページや求人サイト、求人雑誌などあらゆる所に掲載されていたのですぐに見つかりました。
特にホームページには作業風景や寮の写真も掲載されていたのでイメージが湧きやすく、会社がJA(農協)と言うのも安心できます。
個人の農家さんに直接雇ってもらう形だと相性や金銭的なトラブル等の不安もありますが、農協が間に入っているとその点も安心でした。
農業の住み込みバイトは「農家で働いて見たい!」という方がするお仕事だと思います。
稼げる額は少ないので、稼ぎと農業経験を天秤にかけて慎重に選ぶのがいいでしょう。
念押しで農業ヘルパーのメリットはこれです。
- 生産者さんが作った野菜は美味しく感じる
- 感謝されていろんなものをもらえる
- 規則正しい生活で、運動しながら働ける
- 外で働くのは気持ちがいい
これは実際に働いて見ないとわからないことでしょう。他には、ブラックな職場が少なく、部下というより仲間として扱ってもらえていた感じがしました。
仕事の探し方は2通あります。
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自分にとって条件がいい方から応募するのがいいでしょう。